手術方法の進化 糸からシーリングへ

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2026.03.11

手術方法の進化 糸からシーリングへ

大学~修業時代~数年前までのおよそ20年間は、血管は糸で結ぶものでした。

何秒以内に何回縫合する、のようなテストがあり、それに合格しないと手術させてもらえない、のような話を聞いたことがあります。→それくらい必須のスキルでした。

 

最近は縫合糸を使わない手術方法をとる病院が増えていると感じています。

今回の”ちまき”の手術では、意外に痛がりませんした。

縫合糸を体に残さないことが、痛みを軽減するように感じています。

 

例えば避妊手術をする場合、

  • 頭側から左右の卵巣に繋がっている血管 左右2か所
  • 尾側から子宮に繋がっている血管 1か所
  • 子宮全域(左右の子宮間膜)に繋がる細い血管群 左右2か所

上記の血管を止めれば摘出可能となります。

左右卵巣、左右子宮間膜、子宮体、と最低でも5か所の結紮が必要でした。→5個の糸がお腹に残ります。

大型犬の場合には、血管が太くなり、子宮間膜に付着する脂肪も増えるため、慎重に止血を進めるならば、結紮糸は10か所くらいになることもありました。→10個の糸がお腹に残ります。

今は子宮体の1か所しか結紮しません。他はシーリングで処置します。この違いが痛みの差をもたらしていると考えています。

(余談;滅菌の縫合糸は5あるいは10本で包装されています。毎回1本しか使わなくなりました。残り4or9本の滅菌ナイロン糸はそのままゴミ箱です。もったいないな~何か使えないかな~と日々思っています。)

 

シーリングとは、を写真で説明します。

ブログの記事にしたい、と常々考えていました。

ただ、人様のワンちゃん・ネコちゃんで写真を撮影するのはどうなんだろう?と思い、控えてましたが、この度絶好の機会が訪れました。( ̄― ̄)ニヤリ

”ちまき” ॑⸜(* ॑꒳ ॑*  )⸝⋆*ナイスゥ-♡

 

これは子宮側面に走行する血管です。

大型犬なので、ビビるくらい太い血管です。

血管の直径が2倍になると、流れる血液量は4倍となります。(物理の話です。)

4kgくらいの犬猫の24倍くらいは太いと感じます。

そうすると、血液流量は416倍であり、うっかり切るとビビるくらい出血します。(実際は写真の時点で頭側の血管を結紮離断済みなので、そこまでは出血しないのですが。)

 

これをシーリング用の鉗子ではさみます。血管周囲が白く変色しています。

シーリング終了後です。血管が消失したことが分かると思います。白いところを切断しても出血しません。

次に子宮間膜です。

細い血管が上下左右に走っています。大型犬はこんな細くても無処理で切断するとジワジワ出血が止まらないことがあります。

かといって、全て結紮すると、多数の縫合糸をお腹に残すことになります。

そんな時にシーリングは有効です。

 

赤色の円の部分でシーリングをしました。血管の交差点(三叉路)が消失したのが分かります。

この色が薄くなった部分を切れば出血しません。。

(余談;シーリング前後の写真があるということは、我が子の手術をしながらブログ記事のカット割りを考えていた証拠です。意外に冷静でした。)

 

20年間使い続けた縫合糸と完全にサヨナラするのには数年かかりました。

「ホントに血がとまっているの?」が不安で、シーリング後に縫合糸、と2重でやっていた時期もありました。

 

今回の“ちまき”でやっぱりシーリングは良い、と再確認できました。

 

今の大学や、若手がたくさん就職する大規模病院は、避妊手術をどうやって教えているのかな?

シーリングの器械を導入するにはお金がかかりますが、糸と手ならほぼタダです。

 

糸(基礎)を習得したうえで、シーリング(応用)をする、のが本来の姿だと思います。

器械が無いと手術できない、器械が壊れたら手術できない、停電したら手術できない、では困ります。

 

とはいいながら、個人的には「最初から器械の方が安心・安全である」と思っています。パソコンなしで勉強なんてできないよ、の感覚です。

でも100万から300万(シーリング器械代)を持ってないと手術できない、というのもおかしいしな~。

教育現場は大変だなと、勝手に心配しております。

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