何年かに一度、今までの治療が大きく変わる画期的な新薬が発売されます。
今回は催吐(異物の誤食の後吐かせる処置)に新薬がでました。

2025年初頭には発売されそう、という噂がありましたが、延期に延期を重ね、12月1日に発売されました。
12月1日メーカー出荷、12月2日卸到着、12月4日本院到着予定です。本日は12月4日午前9時。今か今かと到着を待っています。
異物を誤食した場合、昨日までの対処方法は、①オキシドールの内服、あるいは、②トランサミン(トラネキサム酸)の注射、でした。
これは10年以上前の雑誌の切り抜きです。

オキシドールvsトランサミン、は10年以上前から変わらない催吐方法でした。
オキシドールは、皆さんがイメージする消毒用のアレです。
血に触れるとシュワシュワと泡が出るのが想像されると思います。
これをおよそ10ml飲ませます。胃の中がアワアワになり、ガスの逃げ場が無くなり、”オエッ”となります。
→イヤイヤそんなもん飲ませて良いのか、と思いませんか?私もそう思います。

現在本院にあったオキシドールたちです。
開封した日付が記されています。なるべく泡立ちが良いようにと、毎回新品を開封しています。(根拠はありません。開封直後にこだわるのは私だけかもしれません。)
そして、使い道のなくなった490mlのオキシドールの群れです。(10ml飲ませることが多いです。)
トランサミンは止血剤です。抗炎症作用もあり、ヒトでは風邪でもインフルでもコロナでも飲み薬として処方されます。
通常使用量の5-10倍量を、血管内に一気に注入すると、嘔吐が誘発されます。嘔吐発現の機序は不明とされています。
→10倍量はなかなかえげつない量です。抗がん剤なら医療事故になり得ます。そんなのを血管に注射して大丈夫なの?と思いませんか?私もそう思います。

どちらも私がやりたくない処置でした。
決定的に大きいもの、決定的に毒性が強いもの、以外は催吐処置はしない、が私の方針でした。
ただ、どうしてもやらなければならない時に示したのが、上記の雑誌の切り抜きです。
リスクあるけど、みんなこれでやってるんだよ。が伝われば、と思っていました。
ただ、本日”クレボル”が届きます。催吐のためにこれらを使う必要が無くなりました。
点眼するだけで95%吐けます。これからは、何でもガンガン吐がせますよ!!
・・・・・とは思いませんが、圧倒的に安全に吐けるようになったのは事実です。
異物治療でのストレスが大きく減りました。
逆に、あっちでもこっちでも、色んなものを吐かせるようになり、新しいトラブルが出てくるのかな?とも思っています。
新品のオキシドールは不良在庫になっちゃったな~。
















