ワンちゃんの膀胱結石のレントゲン写真です。
赤い矢印で示したのが膀胱結石です。
1cm×1cm程度の大きさの石が2個確認できます。
大きな膀胱結石と言えます。
1年前のレントゲン検査では膀胱結石は存在しませんでした。
約1年間食べていた食事が体には不適合であり、結石を作ってしまいました。
食事が合わない場合には、1年間でこのサイズの膀胱結石ができることを認識しておいてください。
膀胱結石の種類は、ストラバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)とシュウ酸カルシウムに分類されます。
発生率はおおよそ半々ですが、最近ではシュウ酸カルシウム結石が増加傾向にあります。
ストラバイトは溶解可能ですが、シュウ酸カルシウムは溶解不可能です。
今回の子は運良くストラバイト結石であったため溶解可能でした。
溶解療法のプロトコール
食事 専用食のみを食べる。今回はロイヤルカナン社製PHコントロールを使用しました。
薬 抗生物質の併用が必要です。今回は30日間使用しました。
結石の溶解過程をお見せします。
0日目(結石を発見した日)
正方形に近い石が2個確認できます。
10日目
結石が低くなったことがわかります。1/3程度の高さになりました。
溶解が始まっています。
30日目
結石は消失しました。
この症例では、大きな結石を早いスピードで溶解まで持ち込むことができました。
注意点
・溶解可能なのはストラバイトだけです。結石の半数は溶解不可能です。
・膀胱内の結石の種類は、尿検査の結果より推測しますが、確定はできません。溶解療法を実践し、効果がない場合にストラバイトではなかった、と結論付けることもあります。
・結石を溶解させる専用食は、高塩分、高脂肪であり、持病のある子での長期間の使用はリスクがあります。